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未来は上書きされている。今この瞬間でさえも

November 29, 2007 7:09 AM

27日(火)繊維新聞に掲載(されたはず。未確認)の私の原稿。
「私のおすすめ」というコーナー。

「未来は上書きされている。今この瞬間でさえも」

夏への扉
ロバート・A・ハインライン (ハヤカワ文庫)


生きたままの金魚がマイナス200度の液体窒素に落とされ、一瞬で凍てつき、蘇生する、という実験を目の前でみたのは、いま二十歳の息子が6歳の時。14年前。
そこからさらに時をさかのぼる事約10年。24~5年前に私はこの本を読んだ。
何事もなかったように再び水の中を泳ぎまわる金魚を見ながら、冷凍睡眠保険(コールドスリープ)はやがて現実の商品となるのか?否か?を考えた。

「2001年が来ちゃったけど、あんな風には変わらなかったね」と、
アーサー・C・クラークの宇宙の旅シリーズを例えて語られる「年号的な未来」に今いるが、未だに保険会社にコールドスリープはないし(民間だけかもしれないが。なぁんてこれもSF)私の家に家事ロボットもいない。多すぎるテレビのチャンネルと携帯電話の機能に、サディスティックな交際を求められている事からしてうんざりで、未来だなぁ、というしあわせな感慨もない。今を見過ごさないよう毎日が慌ただしくて、いっそ片道切符しかない出来損ないのタイムマシーンで昭和30年代に戻ったっていいくらいだ。なぁんて思う日もある。

今がちょっと嫌で、未来に期待しつつ生きる人と、あの頃はよかったと過去に生きる人とどちらが多いのだろう。この本の主人公は前者で、ジンジャーエールをペロペロとなめる猫のピートと一緒にコールドスリープを望む。
見る前からわくわくして仕方がないタイムトラベル系の映画(バックトゥザフューチャーやタイムコップ)は、過去が変わる事で未来が変化する様(小物が老朽化していたり、変形していたり、はたまたバージョンアップしていたり)に監督の才能とユーモアを見つけてはハッピィになる。そんなハッピィが「夏への扉」にある。
過去へのタイムマシーンが必要な人(そんなわけで時に私)のための本だ。
この本を読んだその日から、右か左かを選びながらの一瞬が未来に続き、今この時でさえも私たちの未来は一秒、一分ごとに上書きされているんだな、と感じる。
ふと空をあおげばそこにはきっと、彼方の夏へと続く扉が見えるはずだ。


BGM TODAY
夏の扉/山下達郎

この小説へのオマージュとして作られた、山下達郎さんの曲。作詞はたぶん吉田美奈子さんだと思う(調べろよ、って今思った人。それ、正しいです)。達郎さんもいいが、私は大滝詠一さんが好きでした。山下達郎、伊藤銀次、大滝詠一の企画アルバムで「ナイアガラ・トライアングル」っていうのがあって(私は発売記念ライヴとか行ったクチ)そのVol.1 の発売30周年記念盤ってゆーのが2006年に発売されてる事を最近知ったの。30周年ってすごくない?なんか感動。買うつもり。

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Bumper inc. President / PEACH JOHN General Manager / Creative Director
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